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東日本大震災からまもなく14年が経つ。
福島県いわき市出身の俳人、駒木根淳子さん(72)=横浜市=は、震災後しばらくは俳句を詠む気になれなかった。でも、心を慰めたのもまた、俳句だった。
あの日は横浜市栄区の自宅にいた。発生から2週間後にようやくガソリンが手に入り、水や食料を積んで、いわきに車を走らせた。
実家は商店街にある薬局で、弟夫婦が切り盛りしている。震災直後、店には連日、調剤薬を買おうと早朝から人が並んだらしい。「薬を売らなきゃいけないから、僕たちは逃げられない」。そんな弟夫婦を置いて、横浜に戻った。
《燕来るこの地を離れざる覚悟》
「家に帰りたい」施設の母についたうそ
横浜には桜が咲いていた。福…