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満開を迎えた福島県富岡町夜の森地区の桜並木を歩く防護服姿の町職員=2012年4月19日午前9時22分、福島県富岡町、上田潤撮影
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 東日本大震災からまもなく14年が経つ。

 福島県いわき市出身の俳人、駒木根淳子さん(72)=横浜市=は、震災後しばらくは俳句を詠む気になれなかった。でも、心を慰めたのもまた、俳句だった。

 あの日は横浜市栄区の自宅にいた。発生から2週間後にようやくガソリンが手に入り、水や食料を積んで、いわきに車を走らせた。

 実家は商店街にある薬局で、弟夫婦が切り盛りしている。震災直後、店には連日、調剤薬を買おうと早朝から人が並んだらしい。「薬を売らなきゃいけないから、僕たちは逃げられない」。そんな弟夫婦を置いて、横浜に戻った。

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